私とQUEST

加野 孝

私は、学生時代、テレビゲームがとても好きでした。

小学生時代に大流行した任天堂の「ゲームウオッチ」やエポック社の「カセットビジョン」などが私にとってのゲームの原点です。その後、さらに大流行した任天堂の「ファミリーコンピューター」に夢中になり、中学校時代には友人たちと集まってよく腕を競っていました。
家庭用ゲームだけでなく、学校帰りに(寄り道してはいけないのですが)アーケードゲームをしながら、友人たちと腕を競っていました。

昔から「好きこそものの上手なれ」とよく言いますね。

あまりにもゲームが好きで、腕を上げてしまったせいで、プレイ時間は長びく一方。
アーケードゲーム(ゲームセンター)の場合、50円玉1つで半日くらい続けていたこともありました。凝りだすと極めたくなる性分ゆえでしょうか。

セガ社の「テトリス」に至っては、自分でやめない限り、いつまでも続いてしまう状況でしたし、同じセガ社の「ペンゴ」も好きでした。

これらはパズル系のゲームですが、いわゆるシューティング・ゲームの類にも夢中でした。

ナスカの地上絵に神秘を感じたナムコ社の「ゼビウス」、コナミ社のコミカルな人気作「ツインビー」、カプコン社の戦闘ゲームの名作「1942」、速射力の限界を試されるテーカン社の「スターフォース」といったところが、私が得意とするシューティング・ゲームでした。速射のために、常に指には「タコ」ができている状態でした。

速射の限界を試され、成功すると出現するレアな「100万点ボーナス」の画面があったのですが、そのステージが近づいてくると、レア画面みたさに周囲に人だかりができて、注目されるのですが、それがまた当時の私には快感でした。未だに速射時の効果音、そして、速射成功した瞬間の祝福のミュージック(やたら音量が大きく、目立つのが良かった)を鮮明に覚えています。

アーケードゲームの場合、オフィシャルスコアを登録できるゲームセンターでプレイすると特典がありました。腕を磨いてスコアを高めていくと、雑誌のハイスコアランキングに掲載されるのです。(たしか、電波新聞社の「マイコンBASICマガジン」のとじ込み付録でした。)私だけでなく、そのころに、本気でアーケードゲームに挑んでいる友人たちの間では、ランキングに載ることが羨望の的でした。

自分でランキング上位を目指して目標設定し、オープンで広く参入可能な公平な競争に参画し、やればれるほどスコアが上がっていき、皆に注目され認められる・・・。まさに、後に経営大学院で学んだ各種のモチベーション理論からみても、夢中になる要素が揃っていました。

家庭用ゲームの領域では、「デゼニランド」「サラダの国のトマト姫」といったハドソン社のアドベンチャーゲームといったところから興味を持ちましたが、時代はロールプレイングゲーム全盛期となっていきました。旅情を感じさせるバックグラウンドミュージックが魅力で、光栄の大人気作品「大航海時代」というゲームが結構好きでしたが、なんといってもエニックス社の代表作「ドラゴンクエスト」が好きでした。1日では終わらないゲームを延々と連日プレイできるのが家庭用ゲームの魅力です。

私が「ドラゴンクエスト」が好きだった理由は・・・

  • 一人で孤独に戦うのではなく、色々な技をもった仲間と一緒に戦うところ
  • 多種多様なキャラクターがひっきりなしに出てきて、対峙するのがこれまた面白い
  • やりながら、経験と成長を重ねていくことで、景色や世界が広がっていくところが最高
  • ただ漫然と仲間と冒険するだけでなく、しっかりとしたテーマやクリアすべきゴールがあって、達成感があるところ

といったところです。

頼もしい仲間が次々と増えていくところが、なんとも勇気が出て感動的だったのです。

初代のドラゴンクエストは1986年発売で、このゲームに覚えた感動や愛着は、中学生時代に得たものでしたが、38年経過した今でも、これを凌ぐゲームにはお目にかかっていません。38年もの年月を超えて、その感動を思い出させてくれる作品を開発した開発者の方々に大いなる敬意を覚えます。

思春期の、いろいろなものを吸収しやすい時期にこのゲームに出会ったことは、自分に色々な影響を与えているかもしれないと思っています。

  • 出会った友人、知人と長くお付き合いを続けようとするところ(仲間が増えていく)
  • 自分とは違う世界の専門性を持っている人との交流を好む(違う武器を持っている仲間)
  • 経験値を積みながら、新しい国、業界、職種に自分から飛び込んでいったところ
  • 自分でロックオンしたKPIのハイスコア更新に向けてひたすら努力し続けるところ
  • いったん目指すものをクリアすると、次なる高いターゲット、新しい目標を求めるところ
  • 「これは無理かも」と思う事態になっても諦めず、手を替え品を替え克服を目指すところ
  • 平穏すぎる先の見える活動ではなく、未曽有の挑戦、未経験ZONEを指向するところ
  • 交響曲、オーケストラが好きなところ(勇気の出る主題曲は今もよく聞きます)
  • 一人ではなく仲間と一緒に協力して活動し、目標達成を喜び合うのが好きなところ

公私両方も含めた私の人生全体がこのゲームの世界観に似ていると感じています。

こうした「クエスト好き」なところから、起業して社名を考える際にも「クエスト」という言葉は是非社名の中に入れたい!と思っていました。

「QUEST:クエスト」は、ラテン語で「探し求める」「探求する」を意味する「quaerere」を語源としています。そして、「QUEST:クエスト」は、「探求、冒険の旅、遠征、探し求める、探求する、探求者」といった意味があります。「中世騎士の遠征」という意味もあるようです。

「どんなQUESTが好きなのか?」と自分に問うた時、降りてきた言葉は、
「PASSION QUEST」でした。

あなたは、これまでの人生でどんなクエストを歩んできましたか?
いま、どんなクエストの渦中でしょうか?
これからの人生で、どんなクエストをしていきたいですか?


※社名は当時のものです。