私は、3歳から小学校3年生までの間、チェロを習っていました。
その後も時々、チェロ演奏を好んで聴いています。
チェロ本来の魅力が全面的に伝わってくるソロの楽曲を聴くのが好きです。有名なバッハの「無伴奏チェロソナタ」をはじめ、ソロでこそチェロの魅力が存分に伝わってきます。
一方、ピアノとチェロのDuoの楽曲には、ソロにはない厚みや波動も感じられます。私が一番好きなDuoの楽曲は、ピアソラの「リベルタンゴ」です。リベルタンゴには、様々な編成で演奏されるケースがありますが、私はピアノとチェロのDuoが好きです。
Soloには、すべてを一人のチェロ奏者が背負い、そこに緊張感と責任感をひしひしと感じさせるものがあります。集中力、静けさを感じさせ、シンプルな「美」がそこにあります。
一方、Duoには、二人の奏者、そして異なる楽器の間で演奏中に交わされる掛け合いや、コミュニケーションといったものが大いに感じられます。
Duoには、躍動感、一体感、そして複雑な響きのなせる「美」がそこにあります。
私は、2008年以来、いわばSolo楽曲のチェロ奏者のように、1対1で行う専門職である「エグゼクティブ・コーチング」をプロとして実践してきました。クライアントには、常に一人で向き合い、Soloで活動をしてきました。
Soloでクライアントと向き合う現場には、まさにSolo楽曲におけるチェロ奏者のような責任感、緊張感があり、そこに集中力を発揮している自分が居ました。自分のあらゆる引き出しをフル活用して、目の前のクライアントとの1対1の対話に臨む緊張感と充実感がありました。
一方で、チェロ演奏を通じて、Duoや室内楽、オーケストラのイメージを幼少期から体感としてもっていた私には、1対1のコーチングに遣り甲斐を感じつつも、1対1だけで自らの職業人生を貫こうとまでは考えられませんでした。なにかもっとやりようがあるように思えたのです。
いまでも大阪フェスティバルホールでエルガー作曲「威風堂々」を子供のオーケストラの一員として弾かせて頂いた感動体験を、ステージの照明の熱さとともに覚えています。
コーチングを専門職とする自分だけでなく、別の楽器たる「専門性」を備えたスペシャリストとのDuoを行うと、クライアントはもっと新しい価値を手に出来るのではないだろうか?あるいは、純粋に驚きや発見が多く、クライアントも当方も面白いのではないだろうか?と。1対1は面白いし、結果も出せるが、もっと面白く、もっと大きなインパクトが出せるのでは?という着想です。
このように、弊社の事業構想のルーツは、辿れば幼少期のチェロ演奏体験、オーケストラ体験になるわけですが、実際にこれを事業にしようと思ったのは、2021年に10数年親しんだコーチングの業界を後にしてからでした。
専門職としてコーチングを実践していた「サラリーマン」を2021年3月に卒業。50歳の節目を前にして入学した社会人大学院。そこでの2年にわたる様々な学習、調査研究体験を通じ、「コーチング」という立ち位置を一旦後にし、新しい目線で、自分の今後の生き方、働き方を考えるひと時を過ごしました。
2年間の大学院生活では、様々なバックグラウンド、専門性の先生や学生と出会いました。そのコミュニティーの中において、「コーチングのプロフェッショナル」という名札を外して、純粋に学ぶ一人の大学院生として身を置いた2年間でした。
日本を離れて海外で過ごすと、日本の特徴や良さ、課題が見えやすいと良く言われます。
それと同様に、10数年活動してきたコーチング業界を離れ、外に出て、コーチングという仕事や業界を客観視したことで、いろいろな気づきがありました。
その中でも最大級の気づきは、思いもよらぬ根本的なところにありました。
それまでコーチングの前提となっている「1対1」の対話形式は、対話や成果の質を高める絶対条件だと考えてきました。
しかし、大学院で2年間学ぶ中で、「1対1」という形式を絶対視する必要はないと気づきました。
クライアントである経営者が新しい発想やモノの見方、行動選択肢を手にしていくことが目的であって、そこに関わる構造や形式、手法は二の次であるということでした。
目的を起点に考えるならば、形式はもっと自由でよいのでは?と考えました。
「いつも同じ人が出てくるよりも、時々ゲストが出てきた方が面白い!」それは、大学院の講義に時々ゲスト講師が出てくるときの面白さにもヒントがありました。
もう1つ大学院で気づいたことがあります。ほとんどが自分よりも若い同級生に交じって大学院で学ぶ中でのことです。若くて優秀な人が多いが、50歳近い私ならではの価値あるサービスってなんだろう?と考えたのです。
あるとき友人に「そんなに幅広く、そして長く、色々な業界や専門職の人と沢山繋がっている人は、普通ではない。貴重だと思う」と言われたのです。
その友人の発言をきっかけに、「長く生きてきた中で、古い友人、長い信頼関係の知人が非常に多い。つまり、素晴らしいゲストを招聘する財産が自分にはある。これを活かさない手はない」と思うようになりました。
色々な働き方をし、色々な学校に通い、色々な地域に住んだこと・・・幼稚園以降、色々な人生の時代に出会った友人たちが、いま、様々なフィールドで専門性高く活躍しています・・・。
例えば、幼稚園時代の幼馴染がミュージカル女優となり、小学校時代の友達が一流のチェロ奏者になり、中学生時代の友人が世界各地で一流企業のエグゼクティブとして活躍し、高校時代の友人が医者や弁護士、学者など、様々な領域で活躍しています。米国語学留学時代に出会った友人がその後心理カウンセリングのプロフェッショナルとして大成され、フランスの大学院留学時代の同級生がスイスの国際機関で専門家になっています。
古い友人とのコンタクトを絶やさないという自分の習性がこの年齢になってこんなところで活かせるのかと思いました。持つべきものは「朋友」ですね。
このような「朋友」あってこそ、「Soloもいいけど、Duoの魅力を取り込もう」と決意したのです。多彩で息の合った朋友をゲストとして招聘する「DuoとSoloの混合サービス」の誕生した瞬間でした。
ある時は、ソロのエグゼクティブ・コーチング。ある時は、Duoのゲスト招聘セッションを臨機応変に行う。様々なゲストを入れ替わり立ち替わり招待していくと、それは、最初はDuoですが、最後には多種類の専門家から構成される「オーケストラ」のようになっていきます。
常に1対1で行うコーチングでもない。大学院でもない。常に集合型で行う研修でもない。
これまでになかった、このユニークな構造のサービスに、私はOrchestra(オーケストラ)と命名し、商標登録も行いました。
多くの企業では、たいてい、弁護士、会計士や税理士、技術顧問など、数名程度の顧問と契約していることが多いですが、10名、20名にも及ぶ多種多様な専門職を経営者が手軽に使える体制を取っているケースは、あまりお目にかかりません。
士業の方は容易にネットで検索できますが、経営に必要な専門家の多くは、単純な資格名称で検索できないことが多く、うまく探し出すことが困難です。その結果、本当は、詳しい専門人材に話を早々に相談したいが、無理やり社内で少ない知見のままに議論を続けている経営者の方によくお目にかかります。
結果を求められるトップアスリートには専門家チームが付いています。
同じく、結果を求められる経営トップにも、専門家チームのサポートが不可欠です。
経営者のあなたを支える専門家チームはどのような体制ですか?
その体制は、あなたの難題解決や理想の実現に十分な体制ですか?
これからは弊社の“Orchestra”をあなたの経営者ライフに帯同しませんか?